民事信託のメリット、デメリット
民事信託にはメリットが多く、デメリットは殆どないと言われています。ここでは民事信託のメリットとデメリット(民事信託における注意点)を確認していきましょう。
民事信託のメリット
自由度の高い財産管理が可能
民事信託のメリットとして代表的なものが、自由度の高い財産管理が可能になることです。委託者の生前・死後などを問わず、財産管理について委託者の意思や希望に沿って設定することができます。
そのため万が一、財産を預けている委託者が認知症などになってしまっても、信託契約にもとづいて受託者が財産管理をしてくれます。従来の後見制度では制約や負担が多く、対応することができなかった相続税対策も民事信託(家族信託)であれば実行することが可能です。
倒産隔離機能
委託者が自己破産などをせざるを得ない状況になり、財産の差し押さえなどが発生しても信託財産が差し押さえられることはありません。信託した財産は受託者の名義となりますので、差し押さえには影響しません。
また受託者(財産を託された人)が破産をしても、信託財産には影響ありません。
財産を誰に承継(相続)させるか自由に設定できる
財産をだれに相続させるのか、遺言書で意思表示をすることはできますが、例えば「私が亡くなったら、息子に相続させる。その後、息子がなくなったら孫に相続させる。」といった2代先まで指定するようなことはできません。
なぜならば、一度誰かに相続した財産は「相続された人の財産」になるため、上記の息子が自分の奥様に相続したいと思えば、そのように相続することができるからです。
しかしながら民事信託では、受益者は息子・息子がなくなったら孫を受益者にすると設定すれば、財産をお孫さんに承継することが可能です。
上記のような仕組みを後継遺贈型受益者連続信託といいます。孫が亡くなった場合の受益者をさらに設定することもできますし、そこで信託契約を終了させることもできます。
民事信託を活用される方は、この後継遺贈型受益者連続信託という仕組みを使いたいというケースが多く見られます。
民事信託のデメリット(注意点)
身分行為などができない
民事信託は成年後見や遺言書では出来ないことを補うことができるということから注目度は高いですが、成年後見は民法上「財産管理」だけではなく身上監護も含まれています。
成年後見人は法定代理人ですが、受託者は信託はあくまで財産の適切な管理・処分を目的とされますので、被後見人の名前で契約しなくてはならないものについては成年後見人でないと契約することができないケースもあります。
また子の認知についても遺言では可能ですが、信託契約では行えません。
契約が発効した時点で贈与税がかかる
委託者=受益者である自己信託でない場合は、財産が実質的に委託者から受益者へ移るとみなされますので信託財産額相当の贈与税が発生します。
しかし委託者=受益者である自己信託の場合は、実質的な財産の移動はありませんので贈与税は発生しません。
民事信託はメリットが多いことで、非常に注目されている制度ではありますが注意すべき点がいくつかあります。それらを踏まえずに安易に民事信託を活用するのはリスクが高いのです。
場合によっては遺言書の活用が最善であるケースもあります。ご自身が実現したい内容を思い描いた上で、専門家に相談してみましょう。
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民事信託とは 関連項目
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